■スキャナ設定で、最も重要な事とは?■

それは、解像度を600dpi[=600pixsl/inch]以上にセットする事だろう!!

もちろん同時にイメージファイルの形式を
“モノクロ2階調”にすることも欠かせない。
…しかし『どちか1つのみを選べ!』という天の声があったなら、
迷わず解像度重視であることは間違いないといえる。

ちなみに(くどいようだが書くと)3番目はない!
スキャナ設定は本当に、このたった2つのみを厳守すれば、
後は後でなんとかなるからだ。

逆にいうと、解像度の設定が600dpi以下で取り込んでしまった
イメージファイル(静止画のデータ)は
実は、ほとんどマンガ用としては価値がないともいえるのである。

それほどに、この『スキャナ設定⇒解像度:600dpi以上』という設定は
絶対的な意味を持っていると初心者には心得て欲しい!


マンガは最終的にモノクロで印刷される事を
前提にしているメディアであることは、
誰もが知っていることである。
しかし以外に、この『モノクロ印刷』というが、
ただ一色の『黒』のみのでの表現を意味しているという事は
案外理解されているようで、まだまだであるといえるだろう。
このスキャナ設定の問題も、
いわばその事を完全に把握している人にとっては
それほど難解なことでないはずなのだが…。

あえてクドクドと繰り返す事を書くが、
『モノクロ』とは黒、ただ一色のみの表現をさしている。
カラーは勿論、厳密に言えば
白黒写真のような『グレー(灰色)』表現も
本来は『モノクロ』とはいえないものなのである。
(マンガにグレー表現にスクリーントーンが必要なのはそのためです)

ちなみに、白黒写真のことを『モノクロ写真』というのは、実は" 俗称"。
このあたりに言葉使いから「モノクロ=白黒写真のような表現」
と勘違いされている方は意外と多いかもしれませんが…。

『マンガは印刷時に必ず「モノクロ」として扱われる!』
この原則は、プロ・アマを問わない、
日本マンガ界の、ある種の絶対事項(鉄則)と言えるだろう。
当然この原則論はオフセット印刷主流の
同人誌の世界でのデジタルで入稿であっても変わる事はない。

つまり、どんなイメージファイル形式で作成された原稿も
印刷所で印刷される際には
モノクロ2階調モードに変換されてしまうのは
当然の前提ということなのである。

…というか、もしその原則がなければ
、 そもそもハーフトーンは薄墨でOKとなり、
スクリーントーンとかも不要となるはずだ。
これは言い換えると、スクリーントーンでないと
灰色風の描写が印刷できいという印刷をする限り
デジタル入稿されるいかなる書式のデータ原稿も、
最終的にはモノクロ2階調化しなければ、
印刷物としては扱ってはもらえないということな訳だ!

さて、その上で下記の比較表を見て欲しいのだが…、


 左図(↑)は【解像度:600dpi モノクロ2階調モード】のファイルを縮小処理した物です。 少しザラついた感じがして、原稿の雰囲気が変わった感じすら受ける人もいるでしょう。

 対して中央図(↑)は【解像度:100 RGBモード】のファイルです。 一見すると、こちらの方がアナログ原稿の状態に近く見えます。 よく見ると、市販原稿用紙の目盛りの水色の線までも見えます。 パッと見で言えば、誰もがこちらの表現の方が左図より『良いのではないか?』 そう考えるの無理はないでしょう。
しかし、よく考えて欲しいのは 『マンガは最終的に印刷でモノクロとなり、 水色は勿論、灰色すら表現されない!』ということです。 このファイルの画像は印刷所でモノクロに変換されてしまうと…
…途端に右図(↑)のような凸凹画質になってしまうのです。
これは中央のファイルが灰色という色を利用して 人間の目を錯覚させている表現である為、それが本当のモノクロに変換される際に 濃度50%以下の灰色が切り捨てられ、50%以上の灰色は黒として変換される結果おこる現象なわけです。


 上表の一番左のファイルは、もともとの解像度が600dpi以上で
モノクロで取り込まれていますから、
その後、グレーモードやカラーモードに変換(モードのグレードUP)しても、
さらにその後モノクロに戻しても、基本的に原画が変質することはありません!

お解りでしょうか?そうです!!

『何故マンガの絵の取り込みの設定が
【解像度:600dpi以上 モノクロ2階調モード】なのか?』


それは、高い解像度で、なおかつ
モノクロ(=印刷時の絶対モード)で取り込むことで、
その後の変換時の画質の変質を避けることが出来る。
だから、この設定は必須な訳なのです!


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■おまけ■

★何故、グレースケールだと細い線が見えるのか?★


グレースケールでの
細い線の表現例図
(↓)
まずは左(←)の5本の線を、ご覧ください。
左から順に色が薄くなっています。
…と同時に「線」自体も細く見えませんか?
しかし実はこの5本は皆 同じ太さなんです!!

そう、これが“グレースケール”が
モノクロより細い線が表現できる
(ように見える)原理です。
目の錯覚を利用してる訳です!

この状態を 『細い線が表現できている!』 と勘違いして、 印刷に出してしまったとしましょう。
すると印刷所では、これを “50%を基準にモノクロ2階調”化して 印刷しますので、右(→)のように 細く見えた(実は薄かっただけの)線は 印刷では消えてしまう事に なってしまうわけです(><;)
左(←)グレースケール図を
モノクロ2階調化した状態
(↓)
事のついでに記しますと、Photoshop Elements3.0で
[イメージ]⇒[モード]⇒[モノクロ]
と選択すると、ダイアログ上にモノクロ変換の種類の 選択が出来る項目が出てきます。
初期値では[50%を基準に…]と 書いてある枠です。
枠右の[▼]マークをクリックすると、 [パターンディザ]と[誤差拡散法(ディザ)] という選択が出ます。
上の5本線の図を それぞれでモノクロ変換すると 下(↓)のようになります。

パターンディザ

誤差拡散法(ディザ)


この機能を利用する事で、あらゆるカラー素材が
容易にモノクロ2階調画像に変換できる事になります。

※下表は左上のカラー画像を、それぞれのモード変換で グレースケール&モノクロ2階調化した物です。
◆RGBモード(24ビットカラー) ※原画
◆グレースケールモード(8ビット)
◆基準値50%のモノクロ2階調モード
◆パターンディザ
◆誤差拡散法(ディザ)
◆フィルタ(ハーフトーン)⇒50%基準値モノクロ
こういう処理はアナログでは絶対に出来なかった事で、 今後工夫次第で色々な活用法が開発されてゆく機能の1つと思われます。

また単色の画像を同じように処理すれば下(↓)のようになります。
これが、いわゆる 『自作トーン』ってやつな訳です!
(※フィルターという機能と併用する事でバリエーションは無限大!)
10% 20% 30% 40% 50% グラデーション
原画
パターンディザ
誤差拡散法(ディザ)
フィルタ[ハーフトーン]
  ⇒50%基準値モノクロ
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